私たちの目が、遠くの山々から、手元のスマートフォンの文字まで、瞬時にピントを合わせることができるのは、眼の中に、まるで、オートフォーカス機能付きの、高性能なレンズが、組み込まれているからです。この驚くべきメカニズムの主役を担っているのが、「水晶体」と「毛様体筋」です。まず、「水晶体」は、眼の中にある、直径9mm、厚さ4mmほどの、凸レンズの形をした、透明で、弾力性のある組織です。カメラのレンズに相当し、外から入ってきた光を、屈折させて、眼の奥にあるフィルム「網膜」の上に、像を結ばせる役割を持っています。そして、この水晶体の厚みを、自在に変えることで、ピント調節を行っているのが、「毛様体筋」という、水晶体の周りを取り囲んでいる、小さな筋肉です。この毛様体筋の動きは、私たちの意思とは無関係に、「自律神経」によって、自動的にコントロールされています。遠くを見る時は、毛様体筋は、リラックスして「弛緩」します。すると、毛様体筋につながっている「チン小帯」という、細い糸が、ピンと張り、水晶体を、四方八方から引っ張ります。その結果、水晶体は、薄くなり、遠くの景色に、ピントが合います。これが、目にとって、最も自然で、楽な状態です。一方、近くの物を見る時には、全く逆のことが起こります。毛様体筋は、「収縮」して、緊張します。すると、チン小帯が緩み、水晶体は、自身の弾力性によって、ぷるんと、厚みを増します。これにより、光の屈折力が強まり、近くの文字に、ピントが合うのです。つまり、近くを見続けるという行為は、毛様体筋が、常に、力を入れっぱなしにしている、いわば「筋トレ」のような状態なのです。この、精巧なオートフォーカス機能が、スムーズに働くことで、私たちは、クリアな視界を得ることができています。「ピントが合わない」という症状は、このシステムの、どこかに、不具合が生じていることを、意味しているのです。
オートフォーカスの仕組み、ピントが合うとはどういうことか?