高い眼圧をコントロールし、緑内障の進行を抑えるための治療法として、まず、ほぼ全ての患者さんに、第一選択として処方されるのが、「点眼薬(目薬)」による薬物療法です。この毎日、欠かさずに行う、わずか一滴の点眼こそが、あなたの視野を守るための、最も基本的な、そして最も重要な「生命線」となります。眼圧を下げる点眼薬には、その作用の仕方によって、いくつかの種類があり、医師は、患者さんの眼圧の高さ、緑内障のタイプ、そして全身の持病などを総合的に考慮して、最適な薬を選択します。その作用機序は、大きく二つのカテゴリーに分けられます。一つは、眼球内の液体である「房水(ぼうすい)」が、作られる量を「減らす」タイプの薬です。これは、いわば、眼の中の蛇口を少し締めて、流れ込んでくる水の量を抑制するイメージです。代表的なものに、「β(ベータ)遮断薬」や、「炭酸脱水酵素阻害薬」があります。もう一つは、房水が、眼の外へ流れ出ていく量を「増やす」タイプの薬です。排水口の流れを良くして、眼の外へ出ていく水の量を促進するイメージです。現在、最も多くの患者さんに第一選択薬として処方されている「プロスタグランジン関連薬」や、比較的新しい「ROCK(ロック)阻害薬」、「α(アルファ)作動薬」などが、このカテゴリーに含まれます。治療は、通常、1種類の薬から開始されます。そして、定期的な検査で、眼圧が目標とする値まで、十分に下がっているか(目標眼圧)、そして、視野の進行が止まっているかを確認します。もし、効果が不十分な場合は、作用機序の異なる、2種類、3種類と、薬を組み合わせて処方することもあります。点眼薬は、視力を良くする薬ではありません。それは、病気の進行を食い止めるための、いわば“守りの薬”です。自覚症状がないからといって、あるいは、面倒だからといって、自己判断で点眼を中断してしまうことが、視神経を危険に晒す、最も愚かな行為であることを、決して忘れてはなりません。
治療の第一選択、毎日の一滴「点眼薬」という生命線