白内障の手術を受けて、せっかく、クリアな視界を取り戻したのに、数ヶ月から、数年後、再び、視界が、まるで、すりガラスを通したように、かすんできたり、ぼやけてきたりすることがあります。「白内障が、再発したのでは?」と、不安になるかもしれませんが、これは、白内障の再発ではありません。その正体は、「後発白内障(こうはつはくないしょう)」と呼ばれる、手術後の、比較的、ありふれた合併症の一つです。この現象を、理解するためには、白内障の手術方法を、思い出す必要があります。手術では、濁った水晶体の中身だけを、取り除き、水晶体を包んでいた、透明な袋「水晶体嚢(すいしょうたいのう)」は、眼内レンズを、固定するための、土台として、眼の中に、残しておきます。後発白内障とは、この、残しておいた水晶体嚢の、特に、レンズの後ろ側にある「後嚢(こうのう)」が、時間の経過と共に、徐々に、濁ってきてしまう状態のことです。これは、水晶体嚢に残っていた、わずかな水晶体の上皮細胞が、増殖し、後嚢の表面に、膜のように、広がってしまうことが原因で起こります。つまり、眼内レンズそのものが、汚れたり、濁ったりするのではなく、レンズのすぐ後ろにある、透明な「窓(後嚢)」が、曇ってしまった、というイメージです。症状は、白内障の初期症状と、非常によく似ており、「かすみ」や「視力低下」、「まぶしさ」などを、自覚します。手術を受けた患者さんの、約20%程度に、発生すると言われており、決して、珍しいことではありません。幸いにも、この後発白内障の治療は、非常に簡単で、安全です。治療は、「YAG(ヤグ)レーザー」という、特殊なレーザーを用いて、行われます。外来で、点眼麻酔をした後、診察室の機械に、顎を乗せ、医師が、レーザーを、濁った後嚢に、数発、照射します。すると、後嚢の中心部が、まるで、窓を開けるように、きれいに、くり抜かれ、その場で、すぐに、光の通り道が、確保されます。痛みは全くなく、治療は、わずか数分で、終了します。レーザー治療後は、すぐに、元のクリアな視界を、取り戻すことができます。一度、レーザーで、穴を開けた後嚢が、再び、濁ることは、ほとんどありません。手術後に、また、かすみを感じ始めたら、我慢せずに、早めに、手術を受けた眼科に、相談してください。
「後発白内障」とは?手術後に、またかすむ原因