医学的な病気や、薬の副作用だけでなく、私たちの、日々の何気ない「生活習慣」の中にも、一時的に、眼圧を上昇させる、意外なリスクが、潜んでいます。これらの要因が、直接、緑内障を引き起こすわけではありませんが、すでにある緑内障を、悪化させる可能性は、ゼロではありません。知っておくことで、避けられるリスクもあります。まず、最も明確に、眼圧を上昇させることが分かっているのが、「頭が、心臓よりも、低い位置になる姿勢」です。例えば、ヨガの「倒立のポーズ」や、ベッドの端から、頭を垂らすようなストレッチ、あるいは、うつ伏せで、枕に顔をうずめて眠る、といった姿勢です。これらの姿勢では、頭部の静脈の圧力が上昇し、眼からの血液の還流が、妨げられるため、一時的に、眼圧が、10〜20mmHgも、上昇することがあります。同様の理由で、重量挙げや、管楽器の演奏、あるいは、便秘時の強いいきみなど、息を止めて、腹圧や、胸腔内圧を高める行為も、眼圧を、急上昇させます。次に、「ネクタイ」や「きつい襟のシャツ」も、注意が必要です。首を締め付けることで、頸部の静脈が圧迫され、頭部からの血液の戻りが悪くなり、眼圧が、わずかに上昇する、という報告があります。また、「水の一気飲み」も、避けるべき習慣です。一度に、500mlから1リットルといった、大量の水分を、短時間で摂取すると、血液が、一時的に薄まり、その浸透圧の変化によって、房水の産生が、亢進し、眼圧が、数mmHg程度、上昇することが知られています。水分は、一度にがぶ飲みするのではなく、こまめに、少しずつ摂取するように、心がけましょう。「カフェイン」の大量摂取も、一部の感受性の高い人で、一時的な眼圧上昇を、引き起こす可能性があります。これらの生活習慣による眼圧上昇は、多くの場合、一過性であり、健康な人にとっては、問題になりません。しかし、すでに緑内障と診断され、視神経が、ダメージに対して、脆弱になっている方にとっては、こうした、日々の、わずかな圧力のスパイクも、長期的には、病気の進行に、影響を与える可能性が、否定できないのです。