白内障と診断されたら、すぐに手術をしなければならない、というわけではありません。日常生活に、まだ、支障が出ていない、ごく初期の段階であれば、まずは、薬物療法や、生活習慣の改善によって、その「進行を、できるだけ遅らせる」ことを、目標とします。ただし、ここで、極めて重要な事実を、理解しておく必要があります。それは、「現在のところ、一度、濁ってしまった水晶体を、点眼薬や、飲み薬で、再び、透明な状態に、戻すことができる薬は、存在しない」ということです。つまり、薬物療法の目的は、あくまで、病気の進行を、抑制すること(進行予防)にあり、「治療」そのものではありません。現在、白内障の進行予防薬として、処方されている点眼薬には、主に「ピレノキシン製剤(カリーユニ®など)」や、「グルタチオン製剤(タチオン®など)」があります。これらの薬は、水晶体のタンパク質が、変性するのを防ぐ、抗酸化作用などを、持つとされています。しかし、その進行抑制効果については、限定的であり、科学的なエビデンスも、必ずしも、十分に確立されているわけではない、というのが、現状です。したがって、薬物療法以上に、重要となるのが、日々の「生活習慣」の見直しです。白内障の、最大の原因の一つである、酸化ストレスを、体内に溜めないようにすることが、進行予防の鍵となります。まず、最も効果的なのが、「紫外線対策」です。紫外線は、水晶体のタンパク質変性を、強力に促進します。屋外に出る際には、季節を問わず、UVカット機能のある、サングラスや、帽子、日傘などを、活用し、目に入る紫外線を、物理的に、ブロックしましょう。次に、「禁煙」です。喫煙は、体内に、大量の活性酸素を発生させ、抗酸化物質である、ビタミンCを破壊する、白内障にとって、最悪の習慣です。喫煙者は、非喫煙者に比べて、白内障の発症リスクが、2〜3倍も高まるという、明確なデータがあります。さらに、「バランスの取れた食事」も、重要です。抗酸化作用の高い、ビタミンCや、ビタミンE、ルテインなどを豊富に含む、緑黄色野菜や、果物を、積極的に摂取することを、心がけましょう。また、糖尿病は、白内障の進行を、著しく早めるため、「血糖値のコントロール」も、不可欠です。