「目のトレーニング」と聞くと、多くの人が、眼球をぐるぐると動かしたり、遠くと近くを交互に見たり、といった運動を思い浮かべるでしょう。これらのトレーニングは、果たして本当に、視力を良くする効果があるのでしょうか。その真実と、正しいやり方について、冷静に解説します。まず、これらのトレーニングの主な目的は、低下してしまった眼球の「屈折度数」を治すことではなく、長時間の近業によって、ガチガチに凝り固まってしまった、眼のピント調節筋「毛様体筋」の緊張をほぐし、その働きをスムーズにすることにあります。つまり、眼の「ストレッチ」や「疲労回復法」と考えるのが、最も適切です。その代表的な方法が、「遠近トレーニング(遠方凝視法)」です。まず、窓の外の、できるだけ遠くの景色(看板や鉄塔、雲など)に、10秒間、ピントを合わせます。この時、毛様体筋は、リラックスして、弛緩しています。次に、視線を、腕を伸ばした先にある、自分の指先に移し、10秒間、指紋を凝視します。この時、毛様体筋は、収縮して、緊張します。この、遠くと近くを、交互に、ゆっくりと、1分間ほど繰り返します。これにより、緊張しっぱなしだった毛様体筋が、弛緩と収縮を繰り返すことで、柔軟性を取り戻し、ピント調節機能の改善が期待できます。また、「眼球運動」も、眼の周りにある、6本の「外眼筋」の血行を促進し、眼精疲労を和らげるのに有効です。顔を動かさずに、眼球だけを、上下、左右、そして、斜めの方向に、それぞれ、ゆっくりと、限界まで動かします。最後に、時計回りと、反時計回りに、大きく、円を描くように回します。ただし、これらのトレーニングを行う上で、絶対に守るべき鉄則があります。それは、「決して、無理をしないこと」です。痛みを感じたり、気分が悪くなったりした場合は、すぐに中止してください。そして、最も重要なこと。これらのトレーニングは、あくまで、一時的な「見え方の質の改善」や「眼精疲労の緩和」を目的としたものであり、これだけで、軸性近視が治ることは、絶対にない、という事実を、忘れないでください。