中高年の方が、「視界が白くぼやける」という症状を、慢性的に、感じるようになった場合、その原因として、まず、最も疑われるのが、「白内障」です。白内障は、私たちの眼の中にある、カメラのレンズの役割を果たしている「水晶体」という、透明な組織が、主に、加齢によって、徐々に、白く濁ってくる病気です。若い頃は、水晶体は、まるで、透明なガラス玉のように澄み切っていますが、年齢と共に、そのタンパク質が、変性し、濁りを生じてきます。これは、髪が白くなるのと、同じ、一種の老化現象であり、80歳以上になると、ほとんどの人が、何らかの程度の白内障を、発症していると、言われています。この、濁り始めた水晶体が、視界を「白くぼやけさせる」メカニズムは、汚れた、あるいは、傷のついた、メガネのレンズを通して、物を見るのと、似ています。健康で透明な水晶体は、入ってきた光を、きれいに屈折させて、網膜上の一点に、シャープな像を、結びます。しかし、白内障によって、水晶体の中に、濁りが生じ始めると、その濁りの部分で、光が、様々な方向に、乱雑に散乱(乱反射)してしまいます。この、散乱した光が、網膜全体に、まるで、薄いベールのように、広がってしまうため、本来、鮮明であるべき像の輪郭が、ぼやけ、全体的に、コントラストが低下し、白く、かすんで見えるのです。このかすみは、特に、明るい屋外や、日差しの強い場所で、より強く感じられる傾向があります。また、白内障が進行すると、水晶体が、黄色っぽく、色づいていくため、視界全体が、セピア色に見えたり、夜間に、対向車のヘッドライトが、ギラギラと、にじんで、まぶしく感じられたり(羞明)することも、特徴的な症状です。白内障による、視界のぼやけは、何年、何十年という、非常に長い年月をかけて、ゆっくりと進行するため、多くの人は、その変化に、なかなか気づきません。しかし、それは、確実に、あなたの「見える世界」の、鮮やかさを、奪っていくのです。
最も多い原因、加齢による「白内障」の静かな始まり