視野狭窄が進行すると、私たちの「見え方の世界」は、どのように変化していくのでしょうか。その代表的な見え方と、日常生活の中に潜む、危険なサインを知っておくことは、病気の早期発見に繋がります。最も典型的な視野狭窄の表現が、「トンネルの中から、外を見ているようだ」と形容される「求心性視野狭窄(トンネルビジョン)」です。見える範囲が、中心部に向かって、同心円状に、徐々に狭まっていくため、まっすぐ前は見えるのに、上下左右の周辺部が、全く認識できなくなります。これにより、足元の段差が見えずに転倒したり、信号機の全体像が把握できず、色が変わったことに気づかなかったり、といった危険が生じます。また、緑内障などで見られるのが、視野の一部が、まだらに、あるいは、弓状に欠けてしまう「暗点(あんてん)」です。初期の暗点は、多くの場合、自分では気づかない「相対暗点(感度が少し低下している部分)」ですが、進行すると、その部分が、完全に見えなくなる「絶対暗点」へと変化します。これが、さらに進行すると、視野の鼻側の上半分や下半分が、ごっそりと欠けてしまう「鼻側階段」や、アルファベットのCの字を逆にしたような「ブエルム領域」の欠損といった、特徴的なパターンを、呈するようになります。このほか、網膜剥離では、「視野の端から、黒いカーテンが、降りてくるように見えなくなった」と表現されたり、脳梗塞など、脳の病気では、左右両眼の、同じ側(例えば、両眼の右半分)が、すっぽりと見えなくなる「同名半盲(どうめいはんもう)」といった、特有の見え方をします。日常生活で、注意すべきサインとしては、「人や物に、よくぶつかる」「車の運転中、横から出てくる車や、歩行者に、ヒヤッとすることが増えた」「食事中、テーブルの上の、コップなどを、よく倒す」「本を読んでいると、行を飛ばしてしまう」「探し物が、なかなか見つからない」。これらのサインは、単なる不注意ではなく、あなたの視野が、狭くなっていることによる、空間認識能力の低下が、原因かもしれません。片目を、手で隠し、カレンダーの格子模様などを、中心で見つめ、その周りが、きちんと見えているかを、セルフチェックしてみることも、異常を早期に発見するための、有効な手段です。
視野狭窄の代表的な見え方、日常生活に潜む危険なサイン