眼圧の変動に、意外なほど大きな影響を及ぼす、もう一つの要因。それが、「精神的なストレス」です。仕事のプレッシャーや、人間関係の悩み、あるいは、緑内障という病気そのものへの不安感。こうした、慢性的なストレスは、私たちの体の「自律神経」のバランスを乱し、交感神経が、過剰に優位な状態、つまり、体が常に「緊張・興奮モード」になってしまいます。交感神経が優位になると、心拍数は上がり、血圧は上昇し、そして、眼圧もまた、上昇する傾向があることが、多くの研究で示されています。そのメカニズムは、完全には解明されていませんが、ストレスホルモン(コルチゾールなど)の影響で、房水の産生が増加したり、あるいは、眼の血管が収縮して、房水の排出が悪くなったりするのではないか、と考えられています。さらに、ストレスは、眼圧を上げるだけでなく、視神経そのものへの血流を悪化させ、眼圧によるダメージに対する、視神経の「抵抗力(脆弱性)」を、低下させてしまう危険性もあります。つまり、ストレスは、眼圧と血流の両面から、緑内障を悪化させる、ダブルパンチとなり得るのです。したがって、眼圧を安定させ、視神経を守るためには、薬物療法と並行して、日々の生活の中に、意識的に「リラックスする時間」を取り入れ、自律神経のバランスを整えることが、非常に重要になります。例えば、ゆっくりとした「深呼吸」や「腹式呼吸」は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる、最も手軽で、効果的な方法です。また、ぬるめのお風呂に、ゆっくりと浸かることや、アロマテラピー、ヨガ、瞑想(マインドフルネス)なども、ストレスの軽減に役立ちます。ウォーキングなどの、リズミカルな有酸素運動も、優れたストレス解消法です。もちろん、ストレスを完全にゼロにすることはできません。しかし、自分なりのリラクゼーション法を見つけ、ストレスと上手に付き合っていくという、前向きな姿勢を持つこと。それが、あなたの眼の健康を守る、目に見えない、しかし、強力な「処方箋」となるのです。
ストレスは眼圧の大敵、リラクゼーションの重要性