緑内障の診断は、決して、単一の検査結果だけで、機械的に下されるものではありません。それは、経験豊富な眼科専門医が、これまで述べてきた、様々な検査から得られる情報を、パズルのピースのように、一つひとつ組み合わせ、患者さん一人ひとりの、全体像を、注意深く、そして、総合的に、評価していく、知的で、緻密なプロセスです。その診断プロセスは、通常、以下のような思考の流れをたどります。まず、健康診断などで「眼圧が高い」、あるいは「視神経乳頭陥凹拡大」を指摘され、受診した患者さんに対して、基本的な検査(視力、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査)を行います。この段階で、眼圧が正常範囲を超えていたり、眼底検査で、視神経乳頭に、緑内障を疑う、特徴的な形態の変化が見られたりした場合、緑内障の「疑い」が、強まります。次に、その疑いを、さらに確かなものにするために、構造的な変化を捉える「OCT検査」と、機能的な変化を捉える「視野検査」という、二つの精密検査が、追加されます。OCTで、視神経線維の明らかな菲薄化が確認され、さらに、視野検査で、その菲薄化の場所と、合理的に説明がつく位置に、緑内障に特徴的なパターンの、視野欠損が検出された場合、そこで、初めて「緑内障」という「確定診断」が下されます。この際、隅角検査の結果から、それが「開放隅角」なのか「閉塞隅角」なのかが、分類されます。一方、眼圧は高いものの、視神経や視野には、全く異常が認められない場合は、「高眼圧症」として、経過観察となります。逆に、眼圧は正常範囲でも、視神経と視野に、典型的な緑内障性の変化が認められれば、「正常眼圧緑内障」と診断されます。そして、診断が確定した後は、これらの検査は、病気の進行度を、経時的に、モニタリングしていくための、重要なツールへと、その役割を変えていきます。
検査結果の総合判断、緑内障診断のプロセス