かすみ、まぶしさ、一時的な近視化、色の変化、単眼複視。これらの白内障の初期症状に、もし、あなたが一つでも、心当たりがあるのなら、次にとるべき行動は、ただ一つです。それは、「自己判断で、様子を見たり、市販の目薬でごまかしたりせず、速やかに、眼科専門医の診察を受ける」ということです。なぜなら、これらの症状は、白内障に特徴的なものではありますが、必ずしも、白内障だけが原因であるとは、限らないからです。例えば、視界のかすみや、視力低下は、失明に繋がる、より深刻な病気である「緑内障」や、「加齢黄斑変性」、「糖尿病網膜症」といった、他の眼疾患の初期症状としても、現れることがあります。特に、緑内障は、自覚症状がないまま、視野を蝕んでいく、非常に怖い病気であり、早期発見・早期治療が、何よりも重要です。眼科専門医は、視力検査や眼圧検査だけでなく、「細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査」という、特殊な顕微鏡を用いて、あなたの水晶体の濁りの程度や、種類を、詳細に観察します。さらに、「眼底検査」によって、瞳孔の奥にある、網膜や、視神経の状態を、直接、目で見て評価し、緑内障や、網膜の病気といった、他の危険な病気が隠れていないかを、徹底的にチェックします。これらの専門的な検査を経て、初めて、あなたの不調の原因が、本当に白内障によるものなのか、そして、それが、どのくらい進行しているのかという、正確な「確定診断」が、下されるのです。もし、白内障が、まだごく初期の段階であれば、すぐに手術が必要となることは、ほとんどありません。進行を遅らせるための点眼薬を処方されたり、あるいは、数ヶ月から半年に一度の、定期的な経過観察となったりします。大切なのは、自分の眼の状態を、専門家の目で、客観的に、そして正確に、把握しておくことです。それが、将来にわたって、大切な視力を守り、適切なタイミングで、最善の治療を選択するための、最も確実な道筋となるのです。