眼科で測定される眼圧の値は、絶対的なものではなく、ある「個人差」によって、実際の眼圧よりも、高く、あるいは低く、測定されている可能性があることを、ご存知でしょうか。その、測定値に影響を与える、最も重要な要因が、「角膜(黒目の表面)の厚さ」です。現在、広く用いられている眼圧計の多くは、角膜に、空気や、測定プリズムを当て、その時の「角膜のへこみ具合(抵抗)」から、眼圧を間接的に推定しています。この時、もし、あなたの角膜が、平均的な人よりも「厚い」場合、角膜は、硬くてへこみにくいため、実際よりも、眼圧が「高く」測定されてしまいます。逆に、角膜が、平均よりも「薄い」場合、角膜は、柔らかくてへこみやすいため、実際よりも、眼圧が「低く」測定されてしまうのです。これは、ボールの空気圧を、指で押して確かめる時に、ボールのゴムが厚ければ硬く感じ、薄ければ柔らかく感じるのと、同じ原理です。この測定誤差は、特に、レーシックなどの、角膜を削る屈折矯正手術を受けたことがある人にとっては、極めて重要な問題となります。レーシック後の角膜は、薄くなっているため、眼圧が、実際よりも、かなり低く測定されてしまい、緑内障の発症や進行を、見逃してしまう危険性が高まるのです。そのため、緑内障の診断や、治療方針を決定する際には、必ず、「角膜厚測定検査」が行われます。この検査は、非接触で、数秒で完了する簡単なもので、測定された角膜の厚さに応じて、眼圧の測定値を、補正して考える必要があります。例えば、眼圧測定値が22mmHgで、正常範囲を超えていたとしても、もし角膜が非常に厚ければ、補正後の真の眼圧は、正常範囲内である、ということも十分にあり得ます。逆に、眼圧が18mmHgで、正常範囲内であっても、もし角膜が非常に薄ければ、それは、危険なレベルである、と判断されることもあります。あなたの眼圧の値が、本当に高いのかどうか。その答えは、角膜の厚さを知らずしては、語れないのです。
その眼圧、本当の値?角膜の厚さが与える影響