緑内障の全体像を正確に把握し、適切な治療方針を立てるためには、これまで述べてきた主要な検査に加えて、いくつかの補助的な、しかし、極めて重要な検査が行われます。その代表が、「隅角(ぐうかく)検査」と「角膜厚(かくまくあつ)測定」です。まず、「隅角検査」は、眼圧が上昇する原因が、どこにあるのかを、直接、目で見て調べるための、不可欠な検査です。隅角とは、角膜(黒目)と虹彩(茶目)とが交わる、角度の部分を指し、房水(眼の中の液体)のメインの排水口である「線維柱帯」が、位置する場所です。この隅角が、十分に広く開いているのか(開放隅角)、あるいは、虹彩の根元によって、狭くなっているのか(狭隅角)を、鑑別することが、緑内障のタイプを分類する上で、決定的に重要になります。検査では、点眼麻酔をした後、特殊なコンタクトレンズを、患者さんの眼の表面に、そっと乗せ、顕微鏡で、隅角の状態を、360度、詳細に観察します。この検査によって、加齢による排水路の目詰まりが原因である「開放隅角緑内障」と、隅角が物理的に狭くなることで発症し、急性発作のリスクも伴う「閉塞隅角緑内障」とを、明確に区別し、それぞれに適した治療法(点眼、レーザー、手術など)を選択することができるのです。次に、「角膜厚測定」も、眼圧値を正しく解釈するために、必須の検査です。現在、広く用いられている眼圧計は、角膜に、空気やプリズムを当て、その抵抗から、眼圧を間接的に推定しています。そのため、もし、角膜が、平均よりも「厚い」場合は、抵抗が大きくなり、眼圧は、実際より「高く」測定されます。逆に、角膜が「薄い」場合は、眼圧は、実際より「低く」測定されてしまいます。この測定誤差を補正して、真の眼圧を評価するために、角膜の厚さを、非接触で、数秒で測定します。この検査は、特に、レーシック手術を受けたことがある人や、正常眼圧緑内障の診断において、極めて重要な情報となります。