緑内障治療では、主役である「プロスタグランジン関連薬」や「β遮断薬」だけで、目標とする眼圧まで、十分に下がらない場合、作用機序の異なる、様々な種類の点眼薬が、脇役として、組み合わせて用いられます。これにより、より強力な眼圧下降効果を、目指します。まず、β遮断薬と同じく、房水の「産生を抑制する」グループとして、「炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)」があります。ドルゾラミド(トルソプト®)や、ブリンゾラミド(エイゾプト®)などが、これにあたります。毛様体における、房水産生に必要な酵素の働きを、阻害することで、眼圧を下げます。点眼時に、しみるような刺激感や、かすみを感じることがあります。次に、房水の「排出を促進する」グループにも、いくつかの種類があります。「α2(アルファツー)作動薬」である、ブリモニジン(アイファガン®)は、ぶどう膜強膜流出路からの、房水排出を促進すると同時に、房水産生を抑制するという、二つの作用を併せ持つのが特徴です。アレルギー性の結膜炎を、起こしやすいという副作用があります。そして、近年、注目されている、新しい作用機序の薬が、「ROCK(ロック)阻害薬」です。リパスジル(グラナテック®)が、これにあたります。この薬は、メインの排水口である、線維柱帯流出路からの、房水排出を、強力に促進することで、眼圧を下げます。これまでの薬とは、全く異なるメカニズムで作用するため、他の薬では、効果が不十分だった症例にも、効果が期待されます。副作用として、結膜充血が、比較的高頻度に見られます。これらの、多彩な作用を持つ点眼薬を、医師は、パズルのように、巧みに組み合わせます。最近では、あらかじめ、二つの異なる成分が、一本のボトルに配合された「配合点眼薬」(例えば、プロスタグランジン関連薬とβ遮断薬の配合剤など)も、数多く登場しています。これにより、患者さんは、点眼の回数を増やすことなく、複数の薬の効果を、得ることができるようになり、治療の継続性が、大きく向上しています。