点眼薬や、生活習慣の改善では、白内障の進行を、完全に止めることはできません。病気が進行し、視力低下が、日常生活(仕事、読書、運転など)に、支障をきたすようになった時、その根本的な治療として、選択されるのが「手術」です。白内障の手術は、現在、日本で、年間150万件以上も行われている、非常に安全性が高く、確立された外科手術の一つです。その基本的な目的は、ただ一つ。「白く濁ってしまった、古い水晶体を取り除き、その代わりに、透明な、人工のレンズ(眼内レンズ)を、挿入する」ことです。手術は、通常、局所麻酔(点眼麻酔や、注射による麻酔)で行われ、痛みは、ほとんどありません。手術時間は、症例にもよりますが、わずか10分から20分程度です。現在、主流となっている術式が、「超音波乳化吸引術(ちょうおんぱにゅうかきゅういんじゅつ)」です。まず、角膜(黒目)の縁を、2〜3mm程度、ごく小さく切開します。そして、水晶体を包んでいる袋(水晶体嚢)の、前の部分を、円形に、丸く切り取ります(前嚢切開)。次に、この小さな切開創から、超音波を発する、細い器具を挿入し、濁った水晶体の核と、皮質を、細かく砕きながら、吸引して、取り除きます。この時、水晶体嚢という、透明な袋だけは、眼の中に、残しておきます。そして、最後に、この残した袋の中に、折りたたまれた、柔らかい素材の「眼内レンズ」を、挿入し、袋の中で、広げて、固定します。切開創は、非常に小さいため、多くの場合、縫合する必要はなく、自然に、閉鎖します。手術は、通常、日帰りで行うことができ、翌日には、多くの場合、驚くほど、クリアで、明るい視界を、取り戻すことができます。白内障の手術を受ける「タイミング」に、早すぎる、遅すぎる、ということは、一概には言えません。患者さん自身が、「見えにくさ」によって、日常生活に、不便を感じ始めた時。それが、手術を検討すべき、最適なタイミングと言えるでしょう。