現在、世界中の緑内障治療において、第一選択薬、つまり、最も最初に処方されることが多い、主役とも言える点眼薬が、「プロスタグランジン関連薬」です。ラタノプロスト(商品名:キサラタン®)、トラボプロスト(トラバタンズ®)、タフルプロスト(タプロス®)、ビマトプロスト(ルミガン®)といった、一般名の末尾に「〜プロスト」と付くのが、このグループの薬です。この薬が、第一選択薬として、広く用いられている理由は、その「強力な眼圧下降効果」と、「1日1回」という、優れた利便性にあります。プロスタグランジン関連薬の作用メカニズムは、主に、房水の「排出を促進する」ことにあります。房水の排出経路には、メインルートである「線維柱帯流出路(経線維柱帯流出路)」と、サブのルートである「ぶどう膜強膜流出路」の二つがあります。プロスタグランジン関連薬は、特に、このサブのルートである、ぶどう膜強膜流出路からの、房水の流れを、大幅に増加させることで、非常に効果的に、眼圧を下げます。その効果は、単剤で、眼圧を約25〜35%も低下させることができるとされており、これは、他のどの種類の点眼薬よりも、強力です。また、作用時間が長いため、1日に何度も点眼する必要がなく、「1日1回、就寝前」の点眼で、24時間にわたって、安定した眼圧コントロールが期待できます。これは、患者さんが、治療を、長期間、継続していく上で、非常に大きなメリットとなります。ただし、この薬には、特徴的な副作用もあります。最も頻度が高いのが、「目の充血」です。また、長期間使用していると、「まつ毛が、長く、太く、濃くなる(睫毛貧毛症の治療薬としても使われます)」、「まぶたの色素沈着(目の周りが黒ずむ)」、「虹彩(茶目)の色が濃くなる」といった、美容上の変化が現れることがあります。これらの副作用は、点眼を中止すれば、元に戻るものと、戻らないものがあります。