私の職場は、空調が効いた、乾燥したオフィス。一日中、パソコンの画面とにらめっこする毎日で、夕方になると、決まって、両目が、まるで砂漠のように、乾ききっていました。コンタクトレンズは、目に、乾いた紙が、張り付いたように、ゴロゴロ、しょぼしょぼ。視界は、ぼやけて、かすみ、仕事の効率も、ガタ落ち。もちろん、コンタクト用の目薬は、使っていました。ドラッグストアで、一番、清涼感が強くて、安かったもの。スーッとする、あの刺激が、疲れた目に、効いている気がしていたのです。しかし、その効果は、いつも、ほんの数分だけ。差せば差すほど、かえって、目が乾いていくような、悪循環に、陥っていました。ある日、あまりの不快感に、同僚に愚痴をこぼしたところ、彼女は、驚いた顔で、私に言いました。「え、その目薬、防腐剤入ってない?ソフトコンタクトに、一番やっちゃダメなやつだよ」。その一言に、私は、衝撃を受けました。その足で、眼科に駆け込み、相談すると、やはり、私の角膜は、乾燥と、防腐剤の影響で、無数の小さな傷が、ついている状態でした。医師に勧められたのは、防腐剤が一切入っていない、「使い切りタイプ」の、人工涙液でした。正直、清涼感もなく、値段も高いその目薬に、最初は、物足りなさを感じました。しかし、言われた通りに、使い続けて、一週間が経った頃。私は、驚くべき変化に、気づきました。夕方になっても、あの、忌まわしい、目のゴロゴロ感が、ほとんどないのです。視界は、クリアなまま。コンタクトレンズをしていることを、忘れてしまう瞬間さえ、ありました。私は、これまで、自分の目に、なんて、ひどいことを、してきたのだろうと、心から反省しました。目薬は、ただ、乾きを、一時的に、ごまかすためのものではない。それは、デリケートな目を、優しく、いたわるための、大切なパートナーなのだと。あの日、目薬を変えただけで、私の、仕事のパフォーマンスも、そして、世界の見え方そのものも、文字通り、変わったのです。