どんなに優れた眼圧下降点眼薬も、その一滴が、きちんと眼の中に入り、効果を発揮しなければ、全く意味がありません。驚くべきことに、多くの患者さんが、自己流の間違った方法で点眼を行い、その効果を、十分に得られていない、という報告もあります。あなたの視野を守る、その大切な一滴を、無駄にしないための、正しい点眼方法を、ここで、完全にマスターしましょう。まず、点眼の前には、必ず、石鹸で、手をきれいに洗います。次に、下まぶたを、指で、軽く下に引き、あっかんべーをするように、ポケット状のスペースを作ります。顔を上に向け、点眼瓶の先が、まつ毛や、まぶたに、絶対に触れないように注意しながら、そのポケットの中に、確実に、一滴だけを、滴下します。もし、あふれてしまっても、二滴目を差す必要はありません。ボトル一本に含まれる薬の量は、厳密に計算されているため、余分に使うと、次の診察までに、薬が足りなくなってしまいます。そして、ここからが、最も重要なポイントです。点眼後は、すぐにパチパチと、まばたきをするのではなく、そっと、目を閉じ、そのまま、1分から5分程度、静かに、目を閉じて待ちます。さらに、同時に、「目頭(めがしら)の、鼻に近い部分」を、指で、優しく、圧迫します。この「閉眼」と「目頭圧迫」の、二つの行為が、薬の効果を高め、副作用を減らすための、絶対的な鍵となります。なぜなら、まばたきをすると、そのポンプ作用で、せっかくの薬が、涙と一緒に、目から、鼻の奥へと抜ける「鼻涙管(びるいかん)」へと、洗い流されてしまうからです。目頭を圧迫することで、この鼻涙管の入り口を、物理的に塞ぎ、薬が、眼の表面に、長く、とどまるようにするのです。これにより、薬の吸収が、最大限に高まり、眼圧下降効果が、増強されます。同時に、薬が、鼻の粘膜から吸収され、血流に乗って、全身に回ってしまうのを防ぐため、β遮断薬などで問題となる、全身性の副作用を、大幅に、軽減することができるのです。