網膜剥離は、ある日突然、誰にでも起こりうる病気ですが、その一方で、特定のリスク因子を持つ人は、そうでない人に比べて、その発症率が、著しく高まることが分かっています。これらのリスクを、自分自身が持っているかどうかを知っておくことは、早期発見と、予防的な対策を講じる上で、非常に重要です。まず、最も大きなリスク因子が、「強度近視」です。近視が強い人、特に、マイナス6ジオプトリーを超えるような強度近視の人は、眼球の奥行きの長さ(眼軸長)が、正常な人よりも、前後に長く引き伸ばされています。眼球全体が、風船のように引き伸ばされることで、内側に張り付いている網膜も、薄く、脆弱になり、穴(網膜裂孔)が開きやすくなるのです。次に、重要なリスク因子が、「加齢」です。年齢と共に、眼球の内部を満たしている硝子体は、徐々に、ゲル状から液体状へと変化し、縮んでいきます。この過程で、硝子体が、網膜から剥がれる「後部硝子体剥離」が起こり、その際に、網膜を強く引っ張って、裂け目を作ってしまうことがあります。これが、中高年に、網膜剥離が多い理由です。また、「アトピー性皮膚炎」も、意外なリスク因子として知られています。アトピーの患者さんは、眼の周りのかゆみから、頻繁に、眼を叩いたり、こすったりする癖があることが多く、その物理的な衝撃が、網膜にダメージを与え、剥離を引き起こす「網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)」の原因となります。このほかにも、「過去の眼の外傷(眼球打撲)」や、「白内障手術などの、眼の手術歴」、そして、「家族歴(血縁者に、網膜剥離の患者がいる)」なども、リスクを高める要因となります。これらのリスク因子を持つ人は、たとえ、現在、自覚症状がなくても、年に一度は、眼科専門医による、精密な「眼底検査」を受け、網膜の状態を、隅々まで、チェックしてもらうことが、網膜剥離の、最も確実な「予防策」となるのです。
予防は可能か?網膜剥離のリスクが高い人の特徴